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「小僧、今私の懐から何を取ろうとした?」
アジア系の民族衣装に輝く様な白髪の男が少年の手を掴みながら言う。
「な…何の事だよ?少しつまずいただけで東洋人は因縁つけんのか?」
――見切られた?
驚きながら少年はその男を見た。
今まで少年がスリをした相手はスられた事にいや、少年が触れた事すら気がつかなかったのだ。それを目の前の男は触れる前に気付き、手を掴んだ。
こんな実力だが、それに絶対の自信を持っていた少年は初めて自分の手を掴んだ男に、そう言いながら見返した。
鋭い目付きで少年を一瞥した男―よく見るとかなりの高齢だった―は呟いた。
「大方…この街に巣食うストリートチルドレンかな?生きるのに必死なのは結構。
しかし人から金を盗るのは戴けんな…来い。」
男は少年の手をそのまま引っ張って街の外れまで連れだした
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