257人が本棚に入れています
本棚に追加
「殺人事件ですっ!」
小森の一言に俺の眉がピクリと痙攣する。
一昔前は殺人事件なんて大犯罪で、自分が関わる事があるんだろうか?
と刑事になっても他人事だった。
しかし━━━
現代は俺が想像していた未来とは違った。
殺人なんて誰でも犯しうる事件。
子供までが残忍なやり方を知っている。
いつまでも他人事なんて言ってられない。
いつ自分が加害者の抑制を切るのか…
いつ自分が被害者に落ちるのか…
それは誰も予測出来ない。
「場所どこだ?」
タバコをくわえたまま、シワシワになったシャツを羽織り、脱ぎっぱなしのズボンを履き、適当に掴んだ靴下を履いた。
「同和ビルとマンションの間の路地です」
「すぐ行く」
そう言って電話を切り、タバコの火を消した。
最初のコメントを投稿しよう!