書生についての話

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書生は月明かりに照らされて、 心持ち寂しくなったように聞きました。 「例えば本当に、 例えば政治家なんかで、 本当に世の中を良くしたいと思っている人はいないのでしょうか。」 家に続く小道では、 秋の寒風が時折ぴゅうっと吹いていました。 モノカキ先生は袖口に両手をしまって言いました。 「もちろん、いるさ。 でもね、世の中を良くするために、 その前にあくどい権力が必要だと気づくのさ」 若い書生は言いました。 少しばかり泣きそうになって言いました。 「では、世の中は善処されないということですか?」  
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