記憶‐メモリー‐

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                一歩近づけば、君は後ろに下がる。 「逃がさないよ?…」 後ろは、壁。 顔の横に手をつけば、もう君は逃げられない。 「…ッッ」 「……オイラは君を、愛しているよ」 そう言いながら、君の心臓を突き刺した。 面白いほど簡単に、ナイフは君の体へと吸い込まれていく。 「あ゛…あぁぁ……」 信じられないと言う顔をして、君の体は壁伝いに崩れ落ちていく。 君の、オイラを見るその瞳から、涙がつぅっとこぼれ落ちる。 オイラはそれを、楽しそうに見下ろす。 これで…これで君は…… 「お、れも…貴方のこと……っす、きだ…った……のに………」 …え? 何て言った? その答えを聞こうとしたのに、君はもう動かなくなってしまった。 .
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