第①夜 海驢(後半)

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「ふぅん」 唇を尖らせるうるるちゃん。 ムキになって言い募る、ももちゃん。 「何ー? 嘘じゃないんだよー? ホントーにニュースで、やってたんだからねー」 立ち上がり、腰に手を当てる。 「しかもNHKだよー?天下の国営放送だよー?腐ってもタイランドなんだからっ」 胸を張る。 違う。 そのタイ違う。 「そっかぁ。でもNHKも不祥事とかあったし」「人間誰しも間違いはあるよ」 タイ間違ってるしな。 「人生は、やり直しが効くテレビゲームなんだからっ!」 合っているような気もして来るから不思議だ。 人生にはリセットボタンはない。 ない筈だ。 ――なかったよな? 「……うん……」 「何よー。まだ疑ってんのー。――あ! あたしそのニュース録画してるからさ。それ見てー」 初めからそうしてよ…… 「わー。ホントにー。見る見る」 「ちょっと待っててね」 あ。 何かオレ、嫌な予感して来た。 「――よし! 始まるよ」 「うん」 ポチッ。
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