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軽やかな歌声が立て続けに鳴り響き、二人はそれぞれバッグからケータイを取り出し無言で操作を開始した。
オレは店員を呼び、コーヒーのお代わりを所望する。
コーヒーを店員が持って来た。
一口啜(すす)ってからカチャリとカップをソーサーに戻した時。
何事もなかったかのように二人の会話が開始された。
「やっぱさ、そーゆー邪(よこしま)なお願い叶えようと思ったらさー、頼むのは神様の反対勢力とかになんじゃない」
「悪魔かー。魔法陣で召喚だねー」「だねー」
「後はランプの精とか」「アハハ。三つの願いを叶えて差し上げましょうってか」「喪黒□造とかね」「ドーン!」
人差し指を突き付けて、おどけた顔をする。
きゃっきゃっきゃっきゃっ。
二人は何度もドーンを繰り返し、その度に楽しそうに笑う。
正直、羨(うらや)ましい。
そして微笑ましい。
若いっていいなぁ。
二人して目を擦(こす)りながら「あーおかし」
「ホントだよねー」
「オーホッホッ」
「オーホッホッ」
二人時間差で喪□のモノマネをする。
また爆笑。きゃーはっはっ。うひー。
「顔面痛いしー」「お、お腹痛い。もう勘弁してよー」
「他、頼むとしたら?」
「え? うーん。そーだねー。ジャック・□ウアーとか!?」
「‥バイオテロ!?」
「風邪菌クラスにばらまくの?」
「ジャックがそれを阻止しに日本まで来るんだよ~!」
そしたらお前らが捕まる展開になるけど!?
「来ないっしょ」
「来ない?」
「ジャックはアメリカの為には命削るかも知れないけどねー」
「そっか。日本の、それも高々、田舎のごくありふれた無名な小学校の一クラスの為には」
「命令違反しないって。てゆーか事件なんない」
そもそも風邪菌だしな。
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