雨宿り

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ザァーーーッ 雨はなぜ降るんだろう… 「そいつはエルフが泣いてるからなんだぜ。」 傭兵の頃に誰かがそんな話をしていた。 だが、今はそんな事を思い出している場合じゃない。 早く雨宿り出来る場所を見つけなければ… ずぶ濡れになりながらひたすら走ると、近くに森林があったのでそこに避難することにした。 どこか休めそうな所がないかあたりを見渡すと、ちょうど大木があったのでその根元へと逃げ込む。 「はぁ、さっきまで晴れてたっていうのに急に降り出すなよな。」 びっしょりと濡れた荷物を放り投げ、腰をおろす。 「これじゃあ、今日中に町まで行けそうにないな…」 故郷を旅立ち、やっとの事で隣国[リィガイア王国]に入ったばかりだというのに… 空を見上げるが、雨は止む気配を見せようとはしない。 「また野宿か…」 ぐぅ~~ 「…寝床の準備より、飯の準備が先だな。」 ごそごそと荷物をあさり、とりあえず食べられそうなものを取り出す。 六つ脚鼠の皮、眠りガエルの薫製、メリック草、パランの実 …どれもこれも、食用としては使えない応急薬だけだった。 「やはり、非常食も前の町で買っておけばよかったな…」 ぐぅ~~~ 「現地調達しかないか…」 取り出した薬品をしまい、昔から愛用している剣を取り出し腰にさす。 「ここら一帯を散策してみるか。」 雨で濡れぬよう、木々の下を駆け抜け、食べられそうなものはないか探す。 しかし、雨のせいかどこを探しても食料は見つからない。 「くっ、雨のやろういつまで降り続けるつもりだ。」 ぐぅ~~~~ 盛大に音を鳴らすお腹をおさえていると、さっきの言葉が脳裏を過ぎった。
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