6人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
ザァーーーッ
雨はなぜ降るんだろう…
「そいつはエルフが泣いてるからなんだぜ。」
傭兵の頃に誰かがそんな話をしていた。
だが、今はそんな事を思い出している場合じゃない。
早く雨宿り出来る場所を見つけなければ…
ずぶ濡れになりながらひたすら走ると、近くに森林があったのでそこに避難することにした。
どこか休めそうな所がないかあたりを見渡すと、ちょうど大木があったのでその根元へと逃げ込む。
「はぁ、さっきまで晴れてたっていうのに急に降り出すなよな。」
びっしょりと濡れた荷物を放り投げ、腰をおろす。
「これじゃあ、今日中に町まで行けそうにないな…」
故郷を旅立ち、やっとの事で隣国[リィガイア王国]に入ったばかりだというのに…
空を見上げるが、雨は止む気配を見せようとはしない。
「また野宿か…」
ぐぅ~~
「…寝床の準備より、飯の準備が先だな。」
ごそごそと荷物をあさり、とりあえず食べられそうなものを取り出す。
六つ脚鼠の皮、眠りガエルの薫製、メリック草、パランの実
…どれもこれも、食用としては使えない応急薬だけだった。
「やはり、非常食も前の町で買っておけばよかったな…」
ぐぅ~~~
「現地調達しかないか…」
取り出した薬品をしまい、昔から愛用している剣を取り出し腰にさす。
「ここら一帯を散策してみるか。」
雨で濡れぬよう、木々の下を駆け抜け、食べられそうなものはないか探す。
しかし、雨のせいかどこを探しても食料は見つからない。
「くっ、雨のやろういつまで降り続けるつもりだ。」
ぐぅ~~~~
盛大に音を鳴らすお腹をおさえていると、さっきの言葉が脳裏を過ぎった。
最初のコメントを投稿しよう!