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「ピッド…ですか、可愛らしいお名前ですね。」
微笑みながらクレアは歩きだそうとしたが、何かを思い出したようで再び向きなおした。
「あらあら、忘れてしまうところでしたわ。最初にピッドちゃんに聞いたはずなんですけれど、どのようにして結界内に入ってしまいましたの?」
「あぁ、それは…」
ん?今の会話どこかおかしいぞ…
[ピッドちゃん]
「…すまないが、今オレの事をなんて呼んだんだ?」
聞き間違いであってほしい。
「あら?ピッドちゃんって呼ばせていただいたのですよ。」
クレアはとてもニコニコとしている。
悪気はないのだろうが、この年になって「ちゃん」付けされるなんて…
「いけなかったかしら?」
「…[ちゃん]付けだけはやめてくれないか?」
別に誰かに見られているわけではないが、オレの中での自分というイメージが崩壊する予感がした。
「あら、どうしてですの?ピッドちゃんは私よりずっと年下ですのに。」
確かにエルフは人の数十倍の寿命をもつ種族だから、オレを見たら年下だと思うだろう。
「確かに年下だけれど、[ちゃん]付けは勘弁してくれ。」
自分のイメージを死守するため懸命にクレアを説得する。
そして数十分の長い時間をかけ、説得には成功したがクレアはとても残念そうな顔をしていた。
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