プロローグ

2/9
22人が本棚に入れています
本棚に追加
/9ページ
翌日…目が痛い。昨日体中の水分を目から放出したオレは冷蔵庫からポカリを出して飲んだ。       久しぶりにやってきた夏休み。だがまだ実感が湧かない。思えば野球に明け暮れた3年間。いつもなら半分凍ったこのペットボトルにタオルを巻いてバッグに入れて練習に出かけるのに。 そう思うとまた目頭が熱くなった。袖で目元をぬぐいテレビをつけた。     夏休みということで昔の野球アニメがやっていた。交通事故で死んだ弟の代わりに兄が甲子園を目指すアレだ。その時兄が階段を降りてくる音が聞こえたのでチャンネルをかえた。(朝から一人でアニメをみてるとやっぱり恥ずかしい。)   BSでメジャーリーグ中継をやっていたのであたかも最初からそれをみていたように振る舞った。      オレには兄が二人いる。長男の誠一は高校の頃は地元の活世工業を甲子園まであと一歩というところまで導いたピッチャーだ。よくしらないがそれまでは県大会さえいったことがなかったらしい今は大学で野球をやっている。         次男の直道(今階段から降りてきたほう)は高校三年で野球はやらなかったが中学ではエースで4番、名門校から声がかかった程。
/9ページ

最初のコメントを投稿しよう!