0 醜悪な薔薇

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 蝋燭に揺れる光は一つ。合わせて五つ。  狭くも無く広くも無い石畳の部屋に少女を挟んで両側に二つ、少女の前方に一つ。  風変わりな法衣を纏った中年程の男女が威圧を続ける。 「お前のすることは分かっているな?」  前方の椅子に腰掛けている男が厳格のある重低音で蝋燭の灯を揺らす。  少女は無言で頷き、男から錆付いた指輪を受け取った。 「我等が祖にして師は既に亡い。秘匿も解かれた。新たな薔薇を咲かせるときが訪れたのだ」  少女は聞いている風も無く部屋を後にする。  部屋からはまだ話し声が聞こえてくる。 「醜い……私も……」  少女の呟きはブーツが石畳を叩く音に飲み込まれた。
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