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それからも、何度も溺れかけて川を渡る。 息が切れ、足はもつれ倒れそうになりながらも、家族の待つ向こう岸へ必死に向かった。
「お前は、もう戻る事は出来ない。一生もがき来るむんだ。僕達とね…。」
振り返ってはいけない。少年の嘲笑いが木霊のように響きわたる。
「うるさい、黙れ、あたしは、生きるの。生きなきゃダメなの、あなたなんかの言いなりにはならない。」
美香は、ようやく家族の待つ川岸へ渡りついた。
「お父さん、お母さん、菜月」美香を抱き締めてくれている母、 安心したのか、美香は急に眠くなった。そしてそのまま母の腕の中で、眠りに墜ちた。
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