凹んでも

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ここはどこなんだろう?白い壁、薬品の匂い。 「美香気がついたの?気分はどう、よかった。」母が心配そうに美香の手を握った。 右腕が、かすかに痛む。ここは、病院、あたしは、今病院のベッドのに横たわっている。あの夢に出てきた、少年は、誰だったのだろう。ホッとした瞬間涙が、溢れ出した。 「ごめんなさい。心配かけて…。」 「お母さんこそ、美香の苦しみに気付いてあげられなくて、ごめんね。」 洗面所で、倒れた後テストで早く帰ってきた妹が、私を見つけて救急車を呼んでくれたらしい。その時、私の右手には、剃刀が握られていたという。 「もうバカな事考えちゃダメよ。何でも話してちょうだい。」 母も、泣いていた。少し入院して検査をするという。食べられず眠れない原因を調べるのだそうだ。 一つだけどうしてもわからないのは、なぜ倒れた時に、剃刀なんか握っていたのだろう。どうしても、思い出せなかった。
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