凹んでも

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朝から晩まで検査ばかり、看護師が車椅子で移動してくれているので、身体は楽だが、気分は最悪だ。 最後の心電図の検査が済み、病室に戻った時は、ただ横になりたい、何もする気もおきない、食欲はなく、点滴だけが、今の美香の栄養源。 「何か食べたい物ある?」帰り際に母が汚れ物をまとめながら、美香に尋ねる。 「お寿司かな。サッパリしてるし。」「わかった、明日買ってくるね、一人で大丈夫なの?今夜泊まろうか」 母の気持ちは有り難かったが、今は一人になりたかった。 「大丈夫、ここは病院だし先生もいるし」「じゃ帰るね、何かあったら看護師さん呼ぶのよ!」母はそう言い残して帰っていった。 まだふらつく身体を起こしてカーテンを開ける。眩いばかりのイルミネーション。今夜は、金曜、花金だ。 でも、美香には関係のない世界。華やぐ街も、デパートのショウウィンドに飾られた、最新のファッションもまるで別世界だ。 「あの頃に戻りたいなぁ」ゆっくりとカーテンを締めて、ベッドに横になる。瞳を閉じてこれからの事を考えていたら、いつの間にか眠ってしまった。
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