明けない夜

3/6
前へ
/23ページ
次へ
両親は仕事、妹は学校に出かけて、家には美香一人だけ。喉が渇いたのでフラフラする身体で階段を降りる。 足に力が入らず、何度も踏み外しそうになりながらもなんとか一階に辿りついた。頭がクラクラする。キッチンに向かい冷蔵庫から麦茶を取り出してグラスに注ぐ。 そんな単調な作業すら、ままならない。テーブルの上にはサンドイッチ、母が用意してくれたのだろう。有り難いが、まったく食欲がなかった。 口の中が気持ち悪いので、歯を磨こうと洗面所に向かう。そして唖然とした。 鏡に写るやつれた女、目は窪み、クマができた、青い顔。 「これが、あたし?」あまりの変貌にしばらく立ちすくんだ。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

16人が本棚に入れています
本棚に追加