~出会いは氷雨と共に~

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「貴様!徳川の者か!?」 「いや、相川だ……」 あれ?すんなり会話してる。これはこれで結果オーライなのか? つーか、初対面に貴様って……やっぱり役者さんか? 「む……済まぬ。此処は……どこだ?忍達は?くっ!」 しばらく不思議そうに首だけを動かして辺りを見回していた鎧武者だったが、急に苦しそうな表情を浮かべてうずくまる。 「おっ、おい!大丈夫か?」 「この痛み……やはり忍と戦っていたのは夢ではござらんか」 「はぁ?忍?何言って……って、うぁぁぁ!」 起き上がらせようと支えた手にどす黒い何かがついている。 何これ?トマトジュース的なあれか? 「あんたこれ!マジな血!?」 「くっ……毒が……回って……」 俺の質問まったく無視で、力尽きたように倒れ込む。 えっ?ヤバくない?どうすんだ? 首に手を当てて……。 取りあえずまだ脈はある。うちに運んで親父達に診せよう。刀は……仕舞っとこ。 手からこぼれ落ちた刀を鞘らしき物にしまい込んで何とかその体を背負う。 「くぁ!おっも!」 洒落になんないな。何で鎧とか、何で血だらけとか色々気になること一杯だけど、とにかく危ないのは確かだ。 それだけを胸に、鎧の重さに歯を食いしばりながらも家への道を急いだ。
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