~出会いは氷雨と共に~

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裏口から入り、廊下が濡れるのも構わずに駆け抜ける。 ……と、そこにいたか。 「親父!」 「こら、何度言ったら分かる。パパと呼べと……何だその背中のは?」 リビングのソファに腰を掛け新聞を広げる親父がそれをたたんでこっちを見る。 黒い短髪に無精髭を生やした……簡単に言えば熊っぽいな。 「俺にもわかんねぇんだよ!いいから何とかしてやってくれ!」 「ん?誰だそれ?それ以前に人間は専門外だぞ」 こっちは急いでるっていうのに、この親父はいやにゆったりしやがるな。 ツンツンつつく前にさっさと治せ。 「ママ~!ママ~!悠斗が凄いの連れてきたよ~!」 「あらあら、彼女さんかしら?」 いつからいたのか、キッチンから母さんが顔を覗かせる。 この両親……鎧武者を凄いのだの彼女さんだの、リアクション薄くね?
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