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「よくみりゃ怪我してんじゃないか?これ」
「ほんとね。とにかく治療室まで運びましょうか。悠くんも手伝ってね」
だから頼んでるんだろうが、と突っ込みたくなったが、とにかく今は手伝うか。
再び背負って治療室へと運ぶ。
動物用のやや小さめなベッドが一つに、医療器具一式の白を基調にした小さな部屋だ。
「この邪魔なの脱がしてっと、切り傷が多いし、酷いわね」
「刺し傷っぽいな。傷口が変色してる……毒か」
台に寝かせてみるけど、思いっ切り手足がはみ出てるし。
今更だけどでかいな。親父よりでかいかも。
真っ赤な甲冑を親父と脱がすと、たくましい肉体に大小様々に傷が付いて血が流れている。
「つーか、免許ないと手術出来ないんじゃ……」
「ん?あるぞ」
……いつの間に?
じゃ、何で獣医やってんの?
「ほら、ぼさっとしてないで出ていく!ここからは大人の時間よ」
意味深な笑顔の母さんに背中を押されて俺は治療室を追い出されてしまった。
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