~出会いは氷雨と共に~

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もう、どれぐらい経ったか。 あんな緊急事態にも関わらず、ちゃんと夕飯は持ってきてる自分にビックリだな。 食べる気にはならないけど……。 「おっわり~!何とかなったわね」 「なんつっても、ママがそばにいるからね~。俺も頑張っちゃったよ」 治療室の前のソファでぐったりしてくると、恥ずかしい事をぬけぬけとぬかしながら両親が出て来る。 仲が良すぎて引いちまうのはいつものことだけど、命は助かったみたいだ。 「んで、どこであんなおっきな迷子さんを拾ってきたの?」 「そこの路地。誰とか、何でとか聞かないでよ。俺も混乱してるんだから」 本当にわかんねぇ……。気付いたら担いでたもん。 まぁ、さすがにほっとけないよな。 「度の行き過ぎた戦国マニア……じゃあ、説明がつかないか。悠斗にも分からないんだったら起きるのを待つしかないな」 両手のビニール手袋を外しながら、いつもより真面目な表情で言う。 いつもこれなら多少は尊敬出来るのにな。
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