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「拙者は真田家家臣、鏡川将治郎吾介でござる。
こたびの一件、何と礼を申し上げればよいか……」
椅子の上で正座したまま自己紹介と礼を述べるこの自称サムライさん。
今はあのごっつい鎧じゃなく、紺色の袴のようなものに身を包んでいた。
いや、それよりも目の前に座る二人が俺よりもポカーンとしている事の方が今は問題だった。
「さなだけかしん……?」
「かがみがわしょうじろうあすけ……?」
「「……何それ?」」
「あんたらも聞いてないんかい!!」
共に目を丸くして首を傾げる二人に思わず身を乗り出して突っ込んでしまった。
「普通身元確認が先だろ!何でいきなり団欒囲んでるんだよ!」
「あら~、だってちょうど朝ご飯の時間だったもの」
そういう問題じゃない。
「この家の敷居を跨げば皆俺の家族だ。家族と一緒に飯を食って何が悪いんだ悠斗?」
俺のブレインビジョンに泥棒と仲良くお茶する二人という光景が浮かんだ。
うーん……大いに有り得る。
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