~出会いは氷雨と共に~

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「雨かぁ……」 何だかそれだけでいつもより憂鬱になる。 しかもいつもより冷たい。夏も終わりか。 学校が終わって今はそんな事を考えながら帰り道をゆっくりと歩く。 同じ制服を着た人達がいくつかの集団を作って談笑を交えながら俺の少し手前を進む。 俺の隣には誰もいない……。 二年からの編入のせいにしてしまえばそれまでだけど、そうじゃない。俺は苦手なんだ。人と関わる事自体が。 ああやって仲良くしているのが羨ましい訳じゃない。 ただ、不思議なだけだ。一人の方がこんなに楽なのにな。 黒い傘を時々回して水滴を散らせて遊ぶ。いつの間にかズボンの裾が濡れてんな。 ん?つーか、靴下まで浸食されている……気持ち悪いな。 そんなべちゃべちゃ感に不快を覚えていたら、いつの間にか家に着いていた。真っ白な二階建ての家も暗いせいか少し汚れて見えた。 そして、高々と看板に掲げられた“相川動物病院”の文字。 そう、俺の家は動物病院だった。 だからかもな。動物達といた方が落ち着く。 裏口に回って茶色い木製の扉を開く。こっちの方しか家主は使わない。 「ただいま」 濡れた靴下を手早く脱いで、それを片手に廊下を歩く。何だか惨めな気がするのは俺だけか?
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