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火衣は立ち去る夏姫の姿が見えなくなるまで見つめていた。そして、ベンチに置いてある大きな箱に気がついた。
「忘れ物・・・?」
火衣は箱のリボンを解き、中を開けた。
箱の中には夏姫の手づくりと思われるX'masケーキが入っていた。
ケーキの上に乗っているチョコレートのプレートには、『Merry X'mas TAKENAGA』と手書きのメッセージが書かれていた。
『傷心中』・・・
そう言った夏姫の言葉と箱に入ったX'masケーキから、火衣は今日夏姫が彼氏に振られてしまった事実を知った。
このX'masケーキは彼氏のために一生懸命夏姫が作ったものだった。
火衣はじっとケーキを見つめた。
そして箱の中に小さなメッセージカードが入っているのに気付いた。そこには武長へのメッセージが綴られていた。
「・・・『夏姫より』・・・夏姫って言うんだ、名前・・」
火衣は再び夏姫が去っていった方を見た。
降り積もった雪の上には夏姫の足跡が残っていた。
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