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ジャックがそう言った瞬間、ジジジというテンプレ的なSEと共に、場に居たレイヴン達のシャッターが開かれ逞しい射突ブレードが姿を現した。
「お前もレイヴンなら、戦場でやらないか」
最初に動き出したのは、古参兵の一人だった。かつてアークにおいて《パンツの救世主》と呼ばれていた彼は、ある時レイヴン業を引退した。
かいつまんで言えば、彼には満足できる相手が居なくなってしまったのだ。彼にとっての戦場は、ACに乗っていない時も存在している。そちらの方の戦場に、彼は見切りをつけていた。
それが、ジャック・Oの登場により再燃したという訳だ。彼がネットワーク・テレビに登場した時、彼はモニターに向かってこう言ったという。
『うほっ、いいレイヴン…』
そんな彼に近寄る、インテリ風の男性が居た。無論、その彼も十分にいい男だ。
「俺となら、満足してもらえると思うがね」
男…《ウォータン・バスカー》は自信有り気な口調で言った。
彼は、相棒であるレイヴン《VOLA-VOLANT》と常に行動を共にしている。そういうわけで、彼の経験やテクニックはかなりのものと言える。
「許せよ、これも任務だ」
G・ファウストは口端をひきつらせて笑いつつ、脚部射突ブレードをバスカーの背部インターネサインに侵入させた。
「固い…」
バスカーは増加する熱量と逆に減少するAPを感じて、思わず声を出した。G・ファウストはそのまま、メインブースタとバックブースタを交互に使い、バスカーのAPを奪っていった。
「噂通りだ…」
バスカーは表情がレッドゾーンに突入し、そして脚部損傷のためにより熱が溜まりやすくなっていた。端的に言えば、『乗ってきた』のである。
「バスカー…遅かったか!」
「遅いぞVOLA」
そこへ、VOLAが遅れて到着してきた。彼はバスカーに申し訳なさそうな表情を浮かべつつ、射突ブレードを展開した。ここに来るまでにテストモードを起動していたのか、それは既に総弾数を超過しているようだった。
「バスカー」
「VOLA」
VOLAは自分のギア・トンネルをバスカー、及びG・ファウストに向けるようにして戦闘モードを起動し、バスカーは彼にトップアタックをかけた。流石に相棒というだけあり、二人のコンビネーションは完璧だった。G・ファウストもまた、バスカーのインターネサインにより熱量が蓄積されていった。
「「「アッー」」」
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