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「よし、いいぞ…」
ジャックの大型射突ブレードが、男に次々と命中した。男もまた、満足げな様子である。
『グリッド1の射突型ブレードが連続ヒット!グリッド2、熱暴走が続いている!命中!全部命中!』
どこからか、実況のアナウンサーらしき男の声が響いた。アーク壊滅前に、アリーナと並行して流行っていた競技『フォーミュラ・フロント』の実況に似ていたが、あえてそれを口に出す者は居なかった。
「1発!2発!3発!実戦のつもりで5発!全て一人で顔射する!」
男は、自身の拡散ビームキャノンを急チャージし、モード2の勢いで連射した。放たれたエネルギー弾が、ジャックの足下で倒れていた男たちに次々と降りかかった。
「あいつ…だれ…だ…?」
その光景を眺める男、ンジャムジはたどたどしい口調で尋ねた。
彼もまた、ジャックが目を付けたいいレイヴンの一人であり、プラスではないものの、豪傑な性格と戦闘力から、彼の信頼は篤い。どころか、レイヴン間に於いては珍しく、友情関係すら成り立っている程であり、その意味でも興味深い存在だった。
「多分は…以前ジャックの話していた、ゲドという男だ。しかし…私と顔が似ている気がするな…」
Ω、ライウンと攻守を入れ替えつつ対戦を続ける、鳥大老が答えた。
「そうか…。…おい…ジャック…」
ンジャムジは納得したように言うと、ジャック、及びゲドに近付いていった。
「やら、な、いか」
非常に片言な口調で、ンジャムジはジャックに呼びかけた。するとジャックはンジャムジの方を向き、ゆっくりと口を開いた。
「我々に必要なのは真の強者のみ。許せ…」
ジャックのその言葉は、ンジャムジにとって非常に残酷な意味を持っていた。
「どうして…」
突然、ンジャムジは頭を抱えてその場で膝をついた。ジャックは申し訳なさそうな表情を浮かべながらも、次元とっつきを続け、KARASAWA級のエネルギーをゲドに食らわせた……。
しかしこの時、サークシティへと、バーテックスでも武装勢力でもない、黒い影が近付いていのだった……。
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