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「ここかぁ…」
琥珀色の髪にサファイアブルーの瞳の少年…見た目はまるで女の子。
着ている服が男物でなければ、普通に女性に間違えそうな位だ。
彼が立っている場所は王立アルメア学園。
学問と魔法を平均的に学ぶ場所、そして高等部である校門の前。
その門を眩しそうに目を細め見つめ、「よしっ」と小さくガッツポーズをとり、声を張り上げる。
「レナルド、逝っきまーすっ!」
高らかに間違った用法で叫んで、レナルドは校門を潜って行った。
…いや、彼ならある意味正しいのかも…
掲示板の前まで来ると、結構な数の人だかりが出来ていた。
今日は入学式。
それ故にクラス編成が張り出されている掲示板に人が殺到する。
レナルドもその人込に加わって、1年生の名簿の、エルザディア共用語で書かれた自分の名前を探す。
エルザディア共用語はアルファベットに似た文字列で、性質も配列もそっくりである。
つまりアルファベット順でいう、自分の名前の頭文字の”L”に該当する文字を探す。
「あ、あった。A組だ」
あっさり見つかった。
「Aかぁ…」と呟き、他の名前を探そうとした時。
「よっ!レン、お前何組だ?」
と、レナルドを愛称で呼び、銀髪をオールバックにした、エメラルドグリーンの瞳の男がレナルドの右肩に手が来る格好で、肩を組んで問い掛けてきた。
「あ、アルフ。おはよ、僕はA組だよ。アルフは?」
アルフと呼ばれた…本名アルフレッドはニカッと笑い、親指を立てて答える。
「俺もA組だ!」
キラーンと歯が光って見えた。耳にはピアスを何個も付け、制服を着崩している彼には正直似合ってない。
レナルドがそんな考えをしてると
「これで中等部跨いで、2年連続同じクラスだな!」
肩に組んだ手で、バシバシと肩を叩く。
「痛いっ痛…」
レナルドが情けない声を出していると
「ふっ…甘いな…」
黒髪を肩より少し下くらいまで伸ばした、烏色の深い色合いの瞳の男が右手を顎に添え、左手を右肘に添えた姿勢で近寄ってきた。
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