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「俺は3年目だ」
顎に添えていた手を外して、そのまま腕組に変え威張る。
「あん?何だとぉ?」
「ルーも同じクラスなんだ」
ルーと呼ばれた…本名ルーファスは、レナルドに近づき右手を、彼の正面から左肩に軽くポンッと置く。
「今年も宜しくな。レン」
「な~んだ、お前も同じクラスかよ…ちっ…」
舌打ちをするアルフレッドに対してルーファスはフッと口元を緩めると…
「俺の勝ちだな」
「なぁっ!んなのは関係ねーだろっ!」
肩を組んでいた腕を退かし、アルフレッドがルーファスの胸倉を掴んで詰め寄る。
「テメェよりも俺の方が付き合い長いんだ…同じクラスだっただけで威張るんじゃねーよ」
「ふっ…その分俺の方が長くレンを見て居たって事だ。共に過ごした時間と言う意味では、俺の方が上だ」
「あんだとぉ・・・」
売り言葉に買い言葉。
一触即発の状態となる。
詰め寄るアルフレッドに対し、ルーファスは涼しげな顔で向き合う。
「はぁ、やれやれ…」
そんな二人を見て、どうした物かとレナルドは視線を彷徨わせる。
目の前の光景は彼にとって「日常”ちゃめしどき”」と、馬鹿にして呼んでいるものだ。
それ位、頻繁に見るものなのだ。
いつもの様に対処法を探していると、目にクラス名簿が入る。
一度自分の名前を見つけると、どこに書いてあるかすぐ解るが為、自然と自分の名前を見るがその時。
「あ…」
光明を見出した。
そして直様行動に出る。
「二人とも、熱くなってるところ悪いんだけど」
「あん?」
「俺は冷静だぞ、レン」
「いやいや、十分熱いから」
止めるんじゃねぇオーラ出しながら唸るアルフレッドと、冷静な対処をしているように見えて内心対抗心で燃え上がっていたルーファスを、遮るように名簿に向かって指差してレナルドが続ける。
「上には上が居るみたいだよ?僕の直ぐ後ろ」
「あぁ?」
「むっ?」
レナルドの指差す先を見据える二人は、そこに書かれている名前を見て驚愕する。
「なっ…そんな…」
「むっ…まさか…」
「そう、そのまさかよ」
そこで別の声が入る。声が聞こえた方に3人が振り返る。
「うわっ!」
レナルドの真後に立つ女性。
「うわって…ちょっと酷くない?」
名簿の如く”直ぐ後ろ”に居た彼女に驚き、レナルドが上げた短い悲鳴に、非難を投げつつ続ける。
「レン…これで4年連続同じクラスね…」
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