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「レ~~~~ンっ!」
名前を叫びながら、背中に抱き付いてきた。
すると、背中に柔らかい感触が伝わってくる。これは…
「…胸、当たってるんですけど…ミリア…」
「当ててるから当然♪」
ミリアと呼ばれた彼女はターコイズの様な水色の髪に、アメジストの様な紫色の瞳をしている。
整った顔立ち、整った体型の容姿は美人と言える。
その彼女が、肩越しに後ろから腕を回し、胸を押し当てるようにレナルドに抱き付いていた。
その行為に周囲の、特に男子は、嫉みやら妬みやら嫉妬やら…同じ意味の視線をレナルドに向ける。
レナルドの制服だけ見て男だと知っていた彼らは、彼の顔を見て絶句する。
そして一斉にこう思った。
『美少女が美女に抱き付かれている』
と。途端、嫉妬の視線が、好奇の視線に変わった。
その視線を知ってか知らずか、ミリアは続けた。
「今年こそ、よろしくね?」
意味深な一言に周囲の男子だけでなく、一部の女子からも黄色い声が上がるのだった。
レナルドはと言うと…胸を押し当てられた段階から赤かった顔が、火山が噴火するかの如く真っ赤っ赤。
「あぅあぅ…」と情けない声…いや、周囲には別の声に聞こえてるようだ…声にならない声を上げている。
「なんだ、ミリアも同じかよ」
場の空気を変える声が聞こえた。
アルフレッドだ。
彼は、レナルドがミリアに玩ばれているのを見て、面白く無さげに続けた。
「全く、いつもレンの後ろじゃねーか。そんなにレンの尻を見て居たいのか?」
「人を変態みたいに言うなぁぁぁぁぁぁっ!」
ドゴォォォォォォン…
怒鳴り声が響き渡るのと時を同じくして、アルフレッドが吹き飛んで…逝った。
何が起こったのか、周囲はまるで理解出来なかった。
ただ、レナルドに抱きつきながら、左脚を高らかに上げ静止するミリアと、高く脚を上げた為に必然なら見える下着を、必死で手で隠しているレナルドの姿だけは、認識出来た。
皆は思った…
『お前、手が邪魔!』
「いや、違うでしょ…」
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