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『全て静むる…』
向きを変え、魔力を帯びた声を響かせつつ左方から迫る魔獣を時には速く、時には緩やかに、刀を次々と振るう。
あるいは上方から下方へ、あるいは左方から右方へ。
その度に金色の魔力痕が刻まれていく。
前方から、右方から襲いくる魔獣にも次々と金色の魔力痕を刻んで行く。
「すごい…」
「…初めて見た…」
赤い服の彼が眼前の光景に呟きを漏らし、深緑の服の男が生まれて初めて見る目の前の光景に、驚きの声の後に続けた。
「まるで…」
その時その男の更に続く言葉と、詠唱の完成を告げるレニスの声が重なった。
『金色の舞』
瞬間、荒野は金色に染まった。
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