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ドガァァァァァァン!
壮大な爆発音が室内に響き渡る。
爆発によって巻き起こる煙。
その煙で「けほっ…ケホッ!」と咽る声が聞こえる。
その声を聞いた、銀髪をオールバックにした、エメラルドグリーンの瞳の男が
「ぶはっ!あ~はははっ!やっぱり失敗しやがった!あ~はははっ!」
下品なまでに盛大に笑い転げる。
その光景を見ながら、黒髪を肩より少し下くらいまで伸ばした、黒…と言うよりは烏色と言った方が良い深い色合いの瞳の男が
「ふっ…まぁ、当然だな」
と、さも目の前の光景が決定事項かのように呟く。
口元に薄笑みを浮かべながら。
そんな野次を聞いた煙の中心に立つ者は
「うぅ…二人とも酷いよぅ…」
晴れてゆく爆煙を尻目に、目に涙を浮かべ、情けなく呟く少年。
短く切った琥珀色の髪にサファイアブルーの瞳。
学園の制服に身を包んでいるが、男性用の制服なのにも関わらず、涙目の彼は見た目はまるで…
「うぉっ!涙目でこっち見るな!」
「ふぅ…萌えるな…」
銀髪の男が涙目の彼に抗議し、黒髪の男が…聞いてはいけない言葉を、顎に手を添えクールに口にする。
言ってる事がアレだが。
周りの女生徒は涙目の彼に「きゃー!」と黄色い歓喜の声を上げ、
周りの男生徒は「うほっ!」と意味解らない呻き声を上げる。
そう、見た目はまるで女の子。
童顔で、女性顔で、背は低くて、更には守ってあげたくなるオーラを放ちまくっている。
男女問わず魅了する彼は、所謂”美少年”。
その美少年は魔法が全く使えない。
美少年は今の光景を見て思う。「やめときゃ良かった」と。
事は2時間ほど遡る…
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