25(完結)

2/2
前へ
/51ページ
次へ
25 俺は、真希からの連絡をずっと待っていた。 真希は、きっと俺と美佳子が別れたことを知ったんだ。 そして、俺がもう真希に逢わないと誓ったことも……。 12月24日、クリスマスイヴ。 会社からの帰り道、俺は真希のマンションを訪れた。 しかし、やはり真希は居なかった。 俺は、真希に伝えるつもりだったんだ。 もう、真希には逢えないって……。 俺が真希を愛することは、間違いなく真希を苦しめる。 だから……。 俺は結局、クリスマスに全てを失ってしまった。 でも……良かったんだ、これで……きっと。 俺は、トボトボとマンションに帰った。 すると、部屋の前に誰かが立っていた。 それは……美弥だった。 「美弥……どうして?」 「わたし……本当は……ヒロキが、わたしの一番だったのに……」 「美弥、お前……」 「わたし怖かったの……ヒロキを本気で愛してしまうことが……あのときの言葉は、全部嘘……あの夜も、わたし独りだった……」 涙を流しながら、美弥がじっと俺を見つめていた。 「ごめんなさい……わたしヒロキを信じられなかった……でも、失って分かったの……本当にヒロキのことを愛していたんだって……」 俺だって、美弥を信じられなかったんだ。 俺が本当に愛していたのは、間違いなく美弥だったのに……。 俺は優しく美弥を抱き寄せて、耳元で囁いた。 「美弥……やり直そう、最初から……もう一度……」 美弥を信じようと思えること。 それが、俺の幸せなんだ。 俺は美弥の唇を優しく奪いながら、ゆっくりと目を閉じた。 美弥との、確かな未来を信じようとしながら……。 メリークリスマス! 『Triple Loop(トリプル・ループ)』 了 CopyRight by Hiroto Izumi 2008
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!

81人が本棚に入れています
本棚に追加