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4 シャワーを浴びた俺は、腰にバスタオルを巻いただけの姿でバスルームを出た。 そのまま、まっすぐにベッドへと向かう。 背中をこちらに向けた形で、美弥はベッドに横になっていた。 「美弥……」 あれっ?寝てるの、かな……。 美弥の顔を覗き込むと、美弥は眠っていた。 涙を、流しながら……。 美弥の涙を見た俺は、何故だか胸の痛みを感じていた。 美弥……。 俺は、美弥の髪を撫でながら。 美弥の左頬に、優しくキスをする。 そばにあった、薄い羽毛布団を美弥に掛けて。 俺は、バスルームへと戻る。 ゆっくりと服を着ながら、俺は考えていた。 俺は、本気で美弥を愛している訳ではない。 だけど、どうしてこんなに苦しいんだろう? 俺は美弥にとっては、何人かの男の内の一人でしかないはずだ。 美弥の涙は、きっと。 俺に対する涙なんかじゃない。 それに、俺だって美弥と同じなんだ。 俺は、美弥だけを愛するなんてしない。 美弥の部屋を出た俺は、夜風の冷たさに震えた。 それは、もしかしたら。 俺は、自分自身の心の冷たさに震えていたのかもしれない。 透き通った暗闇が、俺を包んでいた。 そのことが何故か、今の俺には心地良い。 恵比寿駅に向かいながら、俺は美弥と出逢ったときのことを思い返していた。 あのパーティーで、美弥と出逢わなかったとしたら。 俺は今、幸せだったのだろうか? いや、それとも……。
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