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灰色の大きな街の大きな交差点の、ちょうど街を見下ろせる程の街路樹で、僕は待ち合わせをしていた。
もうこの景色も、この空気も、この胸の高鳴りも、慣れてしまった。
それ程までにこの待ち合わせは日常的なものになっていた。
毎日毎日僕はここからこの交差点を見ているけど、青々と繁茂した木の葉の陰に隠れた小さな黒猫など、誰も気には留めていなかった。
そんな慌ただしく濁った人波の中、ただ一人僕が待っていた、真っ白な女の子が、風に綺麗な髪をはためかせ歩いているのが目に入った。
彼女は明るい金髪の上に、鍔広な白い帽子を乗せている。
帽子は、白によく映える赤いリボンがあしらってある。
彼女の姿を捉えたとき、僕の心臓がドクンと高鳴った。
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