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なにか、引き込まれるように足を止めた。
珍しいレンガ造りの外観。
入口は3段高い位置にあり、大きな窓と
手の行き届いたテラスの花壇。
花の種類も豊富で、見たことのない背の高い花は私の目線の位置で咲いていた。
「こんにちは。よかったら、中へどうぞ」
どのくらい、そうしていたのだろう。入口の前で立ち往生してたら、扉が開いて驚いた。
「あ、すいません。あの…綺麗な花ですね。」
いきなりの会話と自分の行動が恥ずかしくなって、ちょっと緊張してる。
ふっと彼は笑った。
「これは、バラの一種。蕾がホイップクリームみたいでしょ。」
ハイビスカスのように大きなその花は、得意げに咲き誇っていた。
僕はここのオーナーです。良かったら中へどうぞ」
戸惑いを汲んでか、それともただの接客か。たぶん、彼の性格なんだろう。穏やかな雰囲気の細身の長身。
香ばしいコーヒーの香りは…店内から?
それとも……
退屈な毎日だった。
だから何か探してた。
冷たい空気と太陽の温もり。
色を変えた落ち葉が乾燥していて、バリバリ鳴る。
そんな音が楽しくて、いつもと違う、樹木の並ぶ帰り道を選んだ。
自分は、人見知りするタイプだと思ってたのに。
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