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外を見て慌てた。
「あの。ごちそうさまでした」
雨の影響もあって真っ暗だった。立ち上がって、コートを羽織る。
「ほら、持ってけよ」
弟さんに無理矢理持たされた群青色の傘。
ちょっと可愛い。
「あ、ありがとうございます。あの、マスターさん。お代は…」
「結構ですよ」
いくらですか?と付け加えようとしたのに。
「でもっ」
「今日は定休日ですから」
扉を開き、私を送り出す。
「コーヒーだけですし、気にしないで下さい」
甘えて…いいのだろうか。
「だったら、また来て下さい」
「はいっ」
嬉しかった。
雨は冷たく優しく傘に落ちる。
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