澄。

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表面上でしか付き合っていなかった。 学校での私は、仲の良い友達はそこそこいるものの、クラスの中では一人で居ることも結構あった。 浮いてるとか、いじめられてるとか、そういう訳では無い。 クラスメートに心を許してなかったのかもしれない。 それって結局、馴染めてないってことかな。 揉め事は嫌いで、面倒な事も極力避けたいので、いつも適当に笑ってごまかした。 「おっはよっ今日も寒いねぇー」 彼女はよく喋り、よく笑い、よく食べる。 何事も素直に言葉に出してぶつけてくる。人の顔ばかり伺う私とは正反対で憧れる。 「おはよう。英語の宿題やった?」 「聞いてなぁい。今知ったー。あ!昨日の授業寝てたからなー当たったらどうしよぉ」 「当たるかもよぉ」 「ぅえー!!ちょ…そんな事言わないで!プリントだっけ。ホーム中にやる!今やる」 好きも嫌いも全部はっきり言うから、たまに彼女は我が儘で子供だって言う人もいるけど、何も理由もなしに我を通してるわけじゃないし、きちんと説明さえすれば理解もする。納得する答えを見つけだす前に頷く私より全然いい。 「チョコ食べる?」 ストロベリーチョコ。口の中で広がる甘さとイチゴの種の触感が残る。 「ぇー!!わー!!食べる食べるー!ありがとー!血糖値上げないと頭働かないもんねー!!いただきっ!!」 大袈裟じゃないかと思うほど彼女は喜ぶ。チョコひとつで。 「ぅまーーーーい」 だからつい、貢いでしまうのだ。 かわいい子。わたしとは全然違う彼女が素敵だった。
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