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辺りは、沈黙に包まれていた。
鬱蒼と茂る草原の中、魔王と勇者は、剣を構えたまま睨み合い、無言で対峙している。
先に勇者が不意に行動を開始し、残像が浮かぶ程の速さで魔王に接近し、一刀のもと魔王を腰から真っ二つに斬り捨てようとした。
だが、さすが魔王を名乗っているだけあるのか、魔王は危なげだが剣撃を避けた。
しかし、勇者はそれを読んでいるかのように、魔王が避けると同時に同じ方向に動き、今度こそ魔王を斬り捨てた。
勇者は、達成感のこもった息を吐き、
「やっと……やっと終わったか……」
と、周りに誰もいないなか、小さく呟いた。
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