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恭介はあの後、すぐに帰った。
家ではいつも通り過ごして明日のために寝た。
転入生が詩音であればいいと淡い期待を胸に秘めて――
カーテンの隙間から太陽の光が洩れ、恭介の顔を照らし出す。
「んぁ……、朝か…。畜生、まだ眠ぃ…」
それでも目を擦りつつ起き上がる。
朝食を食べて髪をセットし、学校の準備を済ます恭介。
ふと時計を見上げ時間を確認する。
するとその時、家のインターホンが鳴った。
「来たか。今行く、そこで待ってろ」
鞄を持って玄関へ向かう。
外に出ると空が待っていた。
「おはよ。待たせて悪いな」
「おはよ~。全然待ってないから気にしないで。それじゃ行こっか」
「あぁ」
2人は雑談しながら学校へ向かう。
周りからの視線が凄いが、どうやら慣れっこのようだ。
「それで、昨日は栞との約束に間に合ったか?」
「んー、少し遅れて怒られちゃった」
「そうか。まぁ、どうせキツく怒られたわけじゃないんだろ?栞は空に甘いからな」
「まぁね。栞は甘いんじゃなくてね、優しいんだよ」
「そうだったな」
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