日常

6/14
前へ
/25ページ
次へ
「わたしね、明日にはここから離れなきゃならないんだって…」   「えっ…!?どうして!?」   「お父さんの仕事の都合で引っ越さなきゃならなくなったの…」   「そんな…。ぼく、離れ離れになるなんて嫌だよ!!」   「わたしだって嫌だよ!!…でも行かなきゃならないの」   「………」   「だからね、離れても忘れないためにこの指輪交換しようと思うんだけど…」     その手に持ってるのはシルバーリング。 まだ幼い2人が持つにはかなり高価な物だが、それは前に2人が我が儘を言って買ってもらっていた物だった。     「…そうだね。これなら名前も彫ってあるし、忘れないね」   「それじゃ交換しよ?」     と2人は指輪を交換した。 「それじゃ帰ろっか。夕日も沈んできたしね」 夕日に照らされ、ふたつの影が地面に黒く写る。 少しばかり歩いてから、ふたつの影はひとつになった。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!

36人が本棚に入れています
本棚に追加