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「わたしね、明日にはここから離れなきゃならないんだって…」
「えっ…!?どうして!?」
「お父さんの仕事の都合で引っ越さなきゃならなくなったの…」
「そんな…。ぼく、離れ離れになるなんて嫌だよ!!」
「わたしだって嫌だよ!!…でも行かなきゃならないの」
「………」
「だからね、離れても忘れないためにこの指輪交換しようと思うんだけど…」
その手に持ってるのはシルバーリング。
まだ幼い2人が持つにはかなり高価な物だが、それは前に2人が我が儘を言って買ってもらっていた物だった。
「…そうだね。これなら名前も彫ってあるし、忘れないね」
「それじゃ交換しよ?」
と2人は指輪を交換した。
「それじゃ帰ろっか。夕日も沈んできたしね」
夕日に照らされ、ふたつの影が地面に黒く写る。
少しばかり歩いてから、ふたつの影はひとつになった。
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