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私はネコ。 メス。 人間で言ったら、だいたい40くらい。女ざかりね。 名前はその時々で違う。 ある家ではちび、ある家ではたま。 ある家ではニャンコちゃん。 ある家ではシロ。 私がえさをもらえる家は、この桜新町では3軒ほど。 1軒は、おばあちゃん。 遠くて寒い場所に、息子夫婦と孫がいる。 孫の名前はみくちゃん。 1年に1回くらいは来ている。いや、来ていた、が正しい。 ここ2年は来ていない。 みくちゃんが重い病気にかかったらしく、来れなくなった。 みくちゃんの家はおばあちゃんの家から、電車に乗って、飛行機に乗って、また電車に乗ってと、とっても寒いらしい。 みくちゃんが教えてくれたの。 前に会った時に、私を撫でながら言った。 「ちび?みくの家はね、暖炉があるんだよ。ちびも行けたらいいのにね。暖かいんだよ」 私は寒がりだから、いくら暖炉があろうともそんなとこはごめんだわ。 でも、みくちゃんは優しいし可愛い。 子供ってヤツは、私の足や手をつかんで鳴かせたり、構いすぎ。 けど、みくちゃんはおばあちゃんの孫だからか、日だまりで寝る私を優しく撫でるだけ。 おばあちゃんは、私に気付くと、手招きをしてお家に入れてくれるの。 だから、ここが私の第1の家って訳。
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