差し出した手

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「痛いよ、アニー…、」 ナツメに言われて気が付いた。 まるで俺は、逃げられるのを恐れたかの様に、ナツメの手首を力一杯押さえ付けていた。 「ごめん……」 「いくら明日オフだからって、飲み過ぎだよ……。酔ってるでしょ?」 ナツメは、冗談ではない事を分かっていてかわそうとしている。 その事に気付きながらも、俺はムキになっていた。 「酔ってなんかないし、冗談なんかじゃねぇよ!!」 「……だってあたし、…マネージャーなんだよ…?」 「…好きなんだから、しょうがないじゃん…、」 お願いだから分かってくれよ…。 分かって欲しいのに、もう何を言えばいいのか分かんなくて……、 ただ、ただ、抱きしめる事しか出来なかった……。 結局、俺の勢いに負けたのか、兄貴がダメならと妥協をしたのかナツメはこの夜、うちに来てくれた。 勿論、兄貴は追い出したさ。 せっかくの夜をぶち壊されたらたまったもんじゃない。 「……本当に好きなヤツを抱くなんて、どれくらいぶりだろう……」 さっき、本当の気持ちを打ち明けてから、俺は感情を隠せなくなっていた。 愛してる……。 この、唇も…、 髪も、耳も、声も全部……。 このまま、俺の手を離さないでいてくれ……。
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