鏡の中のキミは

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恐る恐る振り返ると、アメルのニコニコ顔に視線がぶつかった。爽やかな笑顔の少年は、そのままでビッと親指を立ててくる。 「トラップもばっちり、残ってました?」 「ました?じゃねえだろてめぇええええ!!!」 思わず怒鳴ったレイアンの視界から、ふっとアメルの姿が消えた。同時に空気を切り裂く音が聞こえ、咄嗟に腰から剣を抜く。 抜き様に斬り上げ、その勢いで体を捻る。木製らしき矢が3本叩き落され、落としきれなかった1本が黒い髪を数本散らし、まっすぐ後ろに突き刺さった。 レイアンはしばらく身を屈めて辺りを伺っていたが、ひとまずトラップの襲撃が終わったと判断して立ち上がった。一つ安堵の息を漏らし、足元の矢を拾い上げる。予想通りに木製の矢だったが、鏃は黒曜石で出来ていた。鉄と違って長い年月を経ても劣化することのない黒曜石の磨かれた切っ先は今も鋭く、背に冷たい物が走る。
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