鏡の中のキミは

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光の正体は、幾本ものミスリルの鋼線だ。魔力を通す事で自在に操る事のできるその鋼線は、ちょっとした業物を軽く越えるほどの切れ味を誇る。先端に取り付けられた細工物の小さな分銅が、触れ合って涼やかな音を立てた。 「はぁいレイアン、危機一髪だったね?」 「ああ…」 にっこり笑ったアメルに、レイアンは疲れたような返事を返す。アメルが呆れたように溜息をついた。 「まったく、安心して見ちゃいられないね?…てっ」 茶化しかけたアメルが、急に顔をしかめる。 「アメル」 ふい、とそっぽを向いた少年の名を、レイアンは呼ぶ。さりげなく体の向きを変えながら、アメルはバツが悪そうに微笑んだ。 「別に大した怪我じゃないしね?ミスリルやってる時に下手に動かれると輪切りにしちゃうんだし、レイアンに全部弾けなんて言わないしさ?」
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