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春。
春眠暁を覚えず。
いやぁ、やっぱり春は眠気が120%だ。布団から出れない。
「零輝、今日から学校だぞ。さっさと起きろ」
……誰だ、我の眠りを妨げる愚民は……。地獄の業火で……あー、眠っ。
二度寝だ、二度寝。
……………………。
………………。
…………。
「朝から朱く染まりたいようだな?」
「ごめん、起きる」
俺は一瞬にして跳ね起き、ベッドから降りる。
まだしばしばする目を擦りながら視線を向けるその先には、制服姿で冷酷な視線を俺に向ける女の子が立っていた。
彼女の名前は神崎静歌。
俺とは生まれた頃からと言っても過言ではないほどの幼なじみ。
黒いツンツンした毛先の長髪。ついでに、わざとか分からないがアホ毛のようなものがぴょこんと跳ねている。
「もう時間がない。さっさと着替えてくれ」
「はいはい。んじゃ、出てってくれよ」
俺は半ば強引に静歌を部屋から追い出して制服に着替える事にした。
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