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「ここが俺ん家」
それだけ言うと、俺は先輩の腕を掴んで家に入った。
「ただいま」
1人のメイドが来る。
後は誰も来ない。
シーンとしてる。
…静寂ってヤツだよ。
「お嬢様ー!お帰りなさい!何で迎えを出さなかったんですか!」
ウチのメイド、宇羽其方(ウバ ソナタ)。
俺が小さい頃から面倒見てくれてて、年も今23だからお姉ちゃんって感じ。
「まぁ、色々あって…」
「ちゃんと次から連絡するんですよ?」
「…了解」
今彼女が目のことで驚かないのは、先輩が知らないうちに隠していてくれたらしい。
流石だと思うね、こういう時は。
「お嬢様、そういえば彼方(カナタ)が呼んでましたよ?」
彼方とは、其方の弟の執事。
つまり名前は宇羽彼方(ウバ カナタ)。
「分かった。…何だろ」
「して、そちらの方は?」
「んー…先輩。今日からウチの執事として雇うから」
先輩に頼んだことは、このこと。
ただでウチに住めるとは思えない。
となれば、雇うしかないだろう。
いくら俺でも、この家の全ての権限はない。
元は父さんの家だし。
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