「独りは嫌だ」

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「陽!陽!」 誰か…この声は…。 「…楼…?」 涙が止まらない。 恐かった。 「俺がいる…」 何も聞かず、楼は俺を抱きしめた。 その言葉と行動が今、どれほど俺を救ったか…。 涙が未だ止まらない。 「…ありがとう」 時計を見ると、夜中の3時。 …悪いことしたな…。 「どうしてここに?」 少し落ち着いてきた頃、俺は楼に聞いた。 「彼方に頼まれたんだよ。夜はお嬢様の所にいろって」 成る程…。 「早く行けって言われたのに、色々してて…来たら陽が魘(ウナ)されてて…」 そうか…。それで…。 「イヤ、よくあるんだ」 「…よくある?」 っちゃー…凄い反応。 理由を言えって感じだな。 まぁ、楼だし良いかな。 「俺、昔何か酷いショックがあったらしくて、独りになると恐くて…声も出なくなって…体も動かなくて…」 話してる内に、楼が頭を撫でてくる。 「分かった。…もういい」 でも、楼が来てくれて良かった…。 「もうちょっと聞いて」 楼には言いたいこと、ちゃんと言おうと思う。
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