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「私、怖かった。
巧が来なかったらどうしょー、
って考えたら待ってる間
顔を上げられへんかった。
目を開けてられへんかった」
「美穂……」
「有り難う
来てくれて……」
「美穂……
俺は忘れモノを取りに
ここに来た。
そして、
それを美穂に届けたくて
ここに来たんやで」
「忘れモノ?」
美穂は俺の胸に
押し付けてた顔を上げて
涙でクチャクチャな顔で
俺を見た。
「うん、大事なモノやねん。
でもな、
それを受け取るかどうかは
美穂次第やから……」
美穂は俺を見ながら
小さく頷いた。
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