奇跡

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「痛いっちゅうねん! あっ……」 すると握った二人の手に 白く冷たい物が乗っかった。 二人は同時に空を見上げた。 「巧……」 「うん、雪やな」 クリスマスイブに 雪が降るなんて 過去の記憶にはなかった。 「ホワイトクリスマスやね」 ニッコリ笑って 美穂がそう言った。 「うん」 「巧、私な…… 来年も再来年も これから先ずっと 巧とこうして クリスマスを迎えたい」 「俺達やったら きっと大丈夫! 五年後も十年後も 百年後も千年後も 一緒やで!」 こんなクサイ言葉を言える 今の自分が好きやった。 「うん 幸せやで、巧……」 そして、その言葉を 笑顔で受け止めてくれる美穂が もっと大好きやった。 空を見上げて雪を見る美穂…… その幼い横顔を見つめる俺…… 二人で共に生きる喜びを それぞれの思いで 俺達は感じていた。 繋いだ手から お互いの温もりを 感じながら…… 「過去からのメール」 --------完結---------
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