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「でね、今日だけはなんか寝るのが嫌で、それで来たの」
「なるほどな。
でもそれなら愛の部屋とかに行けばいいじゃんか。
なんで俺の部屋に?」
「普通に考えてさ、男が女性の部屋に行けると思う?
姉弟でもないし、こんな夜遅くだし」
「まぁ普通のやつなら無理だろうな。
だが療なら平気だろ。
小学生はまだ男とは言わない。
少年だ」
「ぼく高校生だよ?」
「大丈夫だよ。見えないから」
「むぅ~」
頬を膨らませてうなった。
やっぱり子どもっぽい。
わざとなのか?
「でもさ、なんでこんな遅くに来たんだ?
今3時だぞ?」
「大輔が寝てると思ってたからだよ。
だから我慢しようかって思ってたら、隣りから物音がしたから起きてるのかなぁって」
チッ…もう少し静かにしとけば良かった。
そうすればこいつは来なかったのに。
窓をちゃんと閉めたことを確認して、電気を消した。
全部は消さず、オレンジの光だけは点けておく。
手探りで掛け布団を一枚取ると、お腹の辺りにかけておいた。
全身はこのごろ暑いのだ。
部屋が暗いオレンジに包まれる中、うっすらと療の顔が見えた。
まだこちらを向いているようだ。
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