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「ぼく別に邪魔してないじゃん。
ただ座っているだけだよ」
「なんで座っているんだ?
部屋に戻ればいいだろ」
イスを引き、気合いを入れるために半袖だというのに腕まくりをする。
大輔は制服から私服に着替えていた。
パジャマまでとはいかないが、それなりに動きやすい服だ。
勉強するのにピッタリした服はなんか嫌だった。
ベッドに乱雑に置かれている制服を見ないようにして、イスに座った。
勉強机に合うイスがないので高さが調節できるこのイスを買ってきたのだが、これが意外と使いやすい。
安かったがいい買い物をした。
「いや…あのね…
ぼくの部屋には行きたくないんだ」
「あ? なんでだ?
また人形が棚から落ちてきたのか?」
「それもあるけど…」
あるのかよ。
「出たんだよ…あいつが…」
療の顔がみるみるうちに暗くなっていく。
数秒後には真っ青へと変わっていた。
見れば体も小刻みに震えだしている。
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