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「出たって……幽霊か?」
「ううん。
もっと恐ろしいもの…」
考えてみれば、最下荘(ウチ)に1人幽霊がいるのだからそこまで恐れるわけがない。
だったら…なにに怯えているんだ?
「で、なにが出たんだ?」
「ゴキブリだよ」
「ゴ……それぐらいでそこまでびびってたのか?」
「だってゴキブリだよ!
ぼくは嫌だ。あんなやつと一緒の部屋にいるなんて」
自業自得だ。
そう言う代わりに大輔は盛大に肩を落とした。
このまま追い出してもいいのだが、療がまた部屋に来ることは目に見えている。
いつもなら無視できるのだが、今日からは集中したいし…。
しょうがないか…早く勉強したいしな。
大輔は部屋の隅に置いてある殺虫剤を1つ持つと、
「じゃ、ちゃちゃっと退治するから、そしたら部屋戻れよな」
「え?
大輔退治してくれるの?」
「ほんとはお前にさせたいが、こっちは時間がないんでな」
殺虫剤片手にドアを開ける。
まったく曲がりなりにも男がゴキブリ1匹ぐらいでなにをそんなに怖がる必要が…
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