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「よかったぁ。
ぼくどうしようかと思っちゃった。
一度に5匹来たらもう逃げるしかないよね」
「…5匹…?」
大輔がドアノブを持ったまま固まった。
「うん。
一度に5匹もぞもぞって」
「へぇ…」
ゴキブリって確か1匹見つけたら100匹いるってどこかで聞いたことあるな…
てことはあいつの部屋には……
「よし、療」
「なに?」
「頑張れ。
俺はギブアップだ」
「は?
ちょっと大輔!笑顔でなに言ってんのさ!
ぼくはやだよ大輔が行ってよ!」
殺虫剤を渡そうとするが療は断固拒否。
手を後ろに回してしまったため、渡すことは困難になってしまった。
「療、よく聞くんだ」
「なに?
ぼくはやだよ。
あんな地獄に殺虫剤1つで乗り込むのは」
地獄って、それお前の部屋だろ?
「そうじゃない。
俺だっていくらなんでもお前を殺虫剤1つで行かせるわけがないじゃないか」
呆れてしまうほどの誤解だ。
俺は鬼じゃないんだから。
大輔はそう言うとまた部屋の隅に行き、
「殺虫剤2つで行け」
まだ開けてもいない殺虫剤を渡した。
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